Google Workspaceから送ったメールが相手に届かないとき、SPFやDKIMをすぐ変更するのはおすすめできません。原因が送信者の操作、Google Workspace、外部の配信サービス、受信側のいずれにあるか分からないまま設定を変えると、別のメールに影響が広がる可能性があるためです。
最初に対象メールを1通特定し、Google Workspaceのメールログ検索で送信経路を確認します。そのうえで、エラー内容、SPF・DKIMの認証結果、受信側の状況を順番に調べると、次に確認すべき場所を絞り込みやすくなります。
この記事で分かること
- 調査前に集める情報
- Google Workspaceのメールログ検索を使った確認方法
- ログに送信記録がある場合と、ない場合の考え方
- SPF・DKIMを確認する方法
- 受信側へ確認を依頼するときに伝える情報
最初に結論:設定変更より先に配送経路を確認する
Google Workspaceから送ったメールが届かない場合は、次の順番で確認します。
- 届かなかったメールを1通特定する
- 送信者側の送信済みメールとエラー通知を確認する
- Google管理コンソールのメールログ検索で送信記録を確認する
- SPF・DKIMなどの認証結果を確認する
- Googleから送信済みなら、受信側の管理者へ調査を依頼する
この順番にすると、原因が分からない状態でDNSやGoogle Workspaceの設定を変更することを避けられます。
「届かないメール」を1通特定する
「取引先へメールが届かない」という情報だけでは、原因を絞り込めません。最初に次の情報を集めます。
- 送信者のメールアドレス
- 受信者のメールアドレス
- 送信した日時とタイムゾーン
- 件名
- 送信済みメールに残っているか
- 送信者へエラー通知が返っているか
- ほかの宛先には届くか
- 同じドメインの宛先へ送ったメールも届かないか
- Gmailから直接送ったか、外部サービスから送ったか
可能であれば、メッセージIDも確認します。メッセージIDはメールを識別する情報で、メールログ検索や受信側への問い合わせに役立ちます。
調査情報を共有するときは、パスワード、認証コード、顧客情報、不要なメール本文を含めないようにします。
送信者側で確認すること
送信済みメールに残っているか
Gmailの「送信済み」で対象メールを確認します。下書きや送信予約の状態ではなく、実際に送信済みになっているかを確認してください。
宛先の入力ミスにも注意します。特に、似た文字、不要な空白、古い連絡先の自動入力がないかを確認します。
エラー通知が返っていないか
メールを配送できなかった場合、送信者へエラー通知が返ることがあります。エラー通知には、拒否理由や確認に必要な情報が含まれている場合があります。
通知を削除せず、次を記録します。
- エラーが返った日時
- 宛先
- エラーコード
- エラーメッセージ全文
- メッセージID
エラーの一部だけを見て原因を決め付けず、全文を保存して管理者へ共有します。
複数の宛先で再現するか
1人だけに届かないのか、同じ会社の複数人に届かないのか、異なるドメインにも届かないのかを確認します。
- 特定の1人だけ:宛先の入力、受信者アカウント、個別フィルターなどを確認
- 特定の会社だけ:受信側ドメインの拒否、隔離、フィルターなどを確認
- 複数の会社へ届かない:送信側の設定、認証、障害などを確認
影響範囲を分けることで、送信側と受信側のどちらを先に調べるか判断しやすくなります。
Google Workspaceの稼働状況を確認する
複数の利用者で同時に送信問題が起きている場合は、Google Workspace Status Dashboardを確認します。
Gmailの障害やサービス中断が表示されている場合は、Googleからの更新を確認します。障害情報がない場合は、メールログ検索へ進みます。
障害情報がないことだけで、自社や受信側の設定に問題がないとは判断できません。
メールログ検索で送信状況を確認する
Google Workspaceの管理者は、メールログ検索を使って、組織で送受信したメールの配送情報を確認できます。メール本文を読む機能ではなく、送信者、受信者、日時、配送状況などから対象メールを調べる機能です。
Google管理コンソールで、次の順に開きます。
レポート → メールログ検索
管理画面の表記や配置は変更される可能性があります。見つからない場合は、管理コンソール内で「メールログ検索」を検索してください。利用にはGmail設定に関する管理権限が必要です。
送信日、送信者、受信者を入力して検索します。メッセージIDが分かる場合は、あわせて指定すると対象を絞り込みやすくなります。
ログに送信記録がある場合
Googleの公式情報では、Google WorkspaceからGoogle以外のメールサービスへ送ったメールがメールログ検索に表示される場合、Google側からは送信されたことを確認できます。
ログの配送状況や詳細を確認し、受信側へ次の情報を伝えます。
- 送信者と受信者
- 送信日時とタイムゾーン
- 件名
- メッセージID
- Google側で確認できた配送状況
- 送信者へ返ったエラー通知
受信側では、迷惑メール、隔離、受信拒否、独自フィルター、メールゲートウェイなどを確認してもらいます。
「Googleから送信された」という結果は、「必ず受信トレイへ入った」という意味ではありません。受信側のサーバーで受け付けた後に、隔離や迷惑メール判定が行われる場合があるためです。
ログに送信記録がない場合
対象メールがメールログ検索に表示されない場合は、送信者側から経路をたどります。
まず、Gmailの送信済みメールに対象があるか、送信者や受信者が正しいかを確認します。Webサイト、CRM、メール配信サービスなどから送った場合は、そのメールがGoogle Workspaceを経由していない可能性があります。
外部サービスから送ったメールは、外部サービス側の送信ログやエラーを確認します。Google Workspaceのメールログだけで、すべての送信経路を確認できるわけではありません。
SPFの認証結果を確認する
相手に届いた別のテストメールや、迷惑メールへ入ったメールを確認できる場合は、メールヘッダーのAuthentication-Resultsを確認します。
SPFが正しく認証された例は、次のように表示されます。
spf=pass
fail、softfail、neutral、permerrorなどの場合は、次を確認します。
- 対象ドメインにSPFレコードがあるか
v=spf1から始まるSPFレコードが複数ないか- 実際に送信したサービスがSPFに含まれているか
- 構文、空白、引用符に誤りがないか
- SPF評価時のDNS参照回数が10回を超えていないか
Google Workspaceだけでなく、Webサイトやメール配信サービスからも送信している場合は、それらの送信元を1つのSPFレコードへまとめます。
SPFの設定前確認と修正方法は、Google WorkspaceのSPF設定方法で詳しく解説しています。
DKIMの認証結果を確認する
同じメールヘッダーで、DKIMの結果も確認します。
dkim=pass
DKIMの記載がない、または認証に失敗している場合は、次を確認します。
- Google管理コンソールでDKIM認証が開始されているか
- DNSに正しいDKIMのTXTレコードがあるか
- 対象ドメインに対して生成したキーを使っているか
- 外部のメール配信サービスが別のDKIM署名を使っていないか
- 送信後にメールゲートウェイが本文やフッターを変更していないか
Googleの公式情報では、送信後にメール本文が変更されると、DKIM認証に失敗する場合があると案内されています。
DKIMの設定と確認方法は、Google WorkspaceのDKIM設定方法をご覧ください。
SPFとDKIMが通っていても届かない場合
SPFとDKIMがpassでも、必ず受信トレイへ届くわけではありません。受信側では、送信内容、送信量、迷惑メール報告、ドメインやIPアドレスの評価、独自のセキュリティルールなども判断材料になります。
個人向けGmailアカウントへ送信する場合、Googleはすべての送信者にSPFまたはDKIMを求めています。個人向けGmailへ1日5,000通を超えて送る送信者には、SPF、DKIM、DMARCなどの追加要件があります。
一斉配信やメールマガジンで問題が起きている場合は、通常の業務メールと分けて確認します。利用している配信サービスの送信ログ、認証設定、配信停止方法、送信者ガイドラインも確認してください。
原因別の確認先
| 状況 | 最初に確認すること | 次の確認先 |
|---|---|---|
| 1人だけに届かない | 宛先、エラー通知、メールログ | 受信者または受信側管理者 |
| 特定の会社だけに届かない | メールログ、受信側の拒否理由 | 受信側メール管理者 |
| 複数の会社へ届かない | 障害情報、SPF、DKIM、送信経路 | Google Workspace管理者 |
| 外部サービスからのメールだけ届かない | 外部サービスの送信ログと認証 | 外部サービスの管理者・サポート |
| 迷惑メールへ入る | SPF、DKIM、DMARC、送信内容 | 送信側・受信側双方の管理者 |
修正後に確認すること
設定を修正した場合は、変更した項目と確認方法を記録します。
- 変更前と変更後の値を保存する
- 変更日時と担当者を記録する
- Gmailから別ドメインの確認用アカウントへテストメールを送る
- メールログ検索で送信状況を確認する
- 受信メールのヘッダーでSPF・DKIMを確認する
- 問題が起きた場合の戻し方を記録する
複数の設定を同時に変更すると、どの変更が影響したか分かりにくくなります。緊急性がない場合は一つずつ変更し、結果を確認します。
自社で解決できない場合
次のような場合は、Google Workspaceのサポート、販売店、DNS事業者、メール配信サービス、受信側の管理者へ相談します。
- メールログの結果と受信側の説明が一致しない
- SPFやDKIMの変更が、ほかの送信サービスへ影響する可能性がある
- 複数のメールゲートウェイや配信サービスを経由している
- 現在のDNS設定や変更履歴が分からない
- 複数の宛先で継続して不達や迷惑メール判定が発生している
相談するときは、メール本文や個人情報を必要以上に共有せず、送信者、受信者、日時、メッセージID、エラー、メールログ、認証結果を整理して伝えます。
まとめ
Google Workspaceから送ったメールが相手に届かないときは、DNS設定をすぐ変更するのではなく、対象メールを特定し、配送経路を順番に確認します。
- 送信済みメールとエラー通知を確認する
- メールログ検索でGoogle側の送信状況を確認する
- SPFとDKIMの認証結果を確認する
- Googleから送信済みなら受信側へ調査を依頼する
- 外部サービスからの送信は、そのサービス側のログも確認する
- 変更前後の値と検証結果を記録する
原因候補を送信側、Google Workspace、外部サービス、受信側に分けることで、必要のない設定変更を減らし、適切な担当者へ確認を依頼しやすくなります。
Google Workspaceのメール設定を自社だけで判断できない場合
メール不達では、Google Workspaceだけでなく、DNS、Webサイト、メール配信サービス、受信側の環境が関係することがあります。
「どのサービスから送られているか分からない」「SPF・DKIMを変更してよいか判断できない」「受信側へ何を伝えるべきか整理できない」という場合は、設定を変える前に現在の環境と事実関係を整理することが大切です。
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